日本画の未来(あした) 心で描いた52点
2003年10月25日(土)-12月7日(日)
この度、浜田市世界こども美術館で開催する『日本画の未来』展で紹介するのは、私の芸大教員36年を含めた50余年に渡る画家生活の中から、記憶にはっきりと感動を覚えた作品のみを作家の皆様にお願いして蒐集したものです。
なぜこのようなことをしたかと問われたら、私の自分では自覚しない石見人の気質がそうさせたのだと思います。著者『石本正 青春時代を語る』(2001年発行)にも書きましたが、以前ある美術館の館長さんが私のところに来られ、「今度自分の美術館で一部屋先生に任せるから考えてほしい」と言われました。私も、これは大変良いことだと承諾し、学生の絵で良い作品を集めて展示したすばらしい部屋ができると思いました。当時の京都造形大学学長の河北倫明先生に相談したところ大賛成で、早速日本画研究室の渡辺武蔵君、竹内浩一くん吉川弘君、それに私の4人でまずはデッサンからと学生の作品の中から5点を選び、一度学校で買い上げ、それをいずれその美術館に渡す手筈にしていました。
しかしその館長さんのねらいは私の作品でしたので、この計画は立ち消えになりました。今その時のデッサンは研究室に残っていますが、到底今の私には描くことのできない、瑞々しく気品のあるデッサンです。学生には欲がなく気力があり、それが素直に作家と対象との心の交流となり、見る私達に訴えかけてくれます。
東京のブリジストン美術館にある青木繁の『海の幸』は、真ん中に自分の恋人をはっきりと描き、他はほとんど線のタッチで描いた作品ですが、私はその前に立つと、いつも言い知れぬ感動を覚えます。
この度の作品は、作家の若い時の作品が多く、表現方法もみな違っています。画一的になりすぎず、またそれ以外は認めようとしない現代の画壇に、浜田から新風を吹かせたいものと思います。絵は技術ではなく心なのです。
名誉館長 石本正
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◆開館時間…午前9:30~午後5:00 (最終入館は午後4:30まで)
◆休 館 日…毎週月曜日(ただし11月3日、24日は開館)、11月4日(火)、5日(水)、25日(火)、26日(水)
◇会 場/浜田市世界こども美術館
[主 催] 浜田市/浜田市教育委員会/財団法人浜田市教育文化振興事業団
◆観覧料/
一 般 500円 (400円)
高校・大学生 300円(200円)
小・中学生 200円 (100円)
※( )内は20名以上の団体料金
出品作家
池田知嘉子、石本 正(特別出品)、伊藤はるみ、岩本和夫
岡崎國夫、奥村美佳、岸本裕子、坂内 圭、藤本直司
船越 修、牧野良美、松倉茂比古、吉村和起
※会場スペースの都合上、会期中に一部展示替を行います。
関連イベント 対談『絵とふるさとを語る』石本正(日本画家、当館名誉館長)・宮廻正明(日本画家、松江市出身) ●日時:平成15年11月29日(土) 午後1:30~3:00 |
現代日本画家13人による大作52点を紹介する展覧会です。
日本画独特の美しい色彩と繊細な描写のすばらしさはもちろんのこと、描かれている題材の多様さ、そして日本画の枠にとらわれない各作家の試みは、大変興味深いものです。
また、当館の名誉館長である石本正先生の近作『幡竜湖のおとめ』も特別出品されますので、ご期待ください。