2023年『森とあそぶアート展』

浜田市は面積の約8割が森林という自然豊かな町です。この豊かな自然環境をアートの視点で捉え、森に親しんでもらえるような展覧会を開きたい。浜田市の自然と現代美術を融合させることでユニークな企画が生まれるのでは？そう考えて企画した展覧会が『森とあそぶアート展』です。作家の皆さんをはじめ、地域の皆さんのご協力によりオリジナリティあふれる企画が実現しました。まるで森の中にいるかのような雰囲気の漂う素敵な展覧会を創出しています。浜田市世界こども美術館に誕生した森のアート。活動の記録をご覧ください。

■会期／2023年7月15日(土)～9月24日(日)
■主催／公益財団法人浜田市教育文化振興事業団（浜田市世界こども美術館）
■後援／浜田市、浜田市教育委員会
■共催／日本海テレビ
■助成／一般財団法人地域創造
■協力／東京工芸大学-芸術学部-インタラクティブアート研究室

展示室

「地球と遊ぶ」というテーマでさまざまな自然現象を取り入れた作品を発表している木村さんの作品を紹介。森のライブ音を聞くことができる《森ラジオ》、オーガンジーに墨で描かれた森の風景、白いテーブルに影をつくると星形のこもれびが表れる作品…。普段は気にとめない地球の力を視覚化する作品で、まるで森の中を散策しているようなふしぎな体験ができる空間が登場しました。

葉っぱとお花がモチーフに使われている2つのインタラクティブアートを紹介しました。《コトノハ》は箱に向かって言葉を話すと、話した言葉が文字になって画面にあらわれ、広場を歩きまわる作品。《ユビサキに咲く》は壁に手をかざして自由に動かすと、手の動きに沿って複数の花びらを描くことができます。

《In The Wood》は、シルエットの森に入り込み、自分も1本の木になり、森の一部に変身することのできる作品です。頭から枝が生え、葉が生い茂る面白さに加え、じっとしていると、リスやイノシシといった動物たちが姿を現します。《On The Stump》は切り株のような台の上をドングリや松ぼっくりがコロコロと転がり続ける作品。まるで生き物のように転がるドングリに子ども“どうして転がるの？”と不思議な表情を浮かべていました。

あそびとクイズを融合させた展示空間を創出。《浜田の森の不思議》と題された13ｍにも及ぶ長い空間を木のおもちゃとクイズで森について知ってもらう仕掛けを取り入れました。作品は浜田の森で育ったブナ・ホオ・カエデ・クリなどの広葉樹でつくられています。浜田の森にちんだクイズは全７問。楽しみながら森の知識を身に着けてもらいとの願いから誕生した作品です。

加地さんは木の廃材を用いて原寸大の動物をつくる作家です。会場には大迫力の《麒麟》と《寅》がお目見えしました。見上げるほどの《麒麟》は高さが約5メートルにも及びます。《虎》は骨格も本物そっくりに再現され、躍動感ある勇ましい姿に鑑賞者は釘付けでした。

《きみのもり》はどんな森？丸太の上に浜田の木でつくられたつみきの家を置くと、森にすむ動物たちが集まってきます。AR技術を使ったインタラクティブ作品。丸い板の上をぴょんぴょん跳ねるとキノコが生える森、森の中に隠れているモグラを探して歩いたり、プランターの植物にお水をあげたり…。デバイスで映像をみて体験する作品、風や鳥のさえずりを聞いて森を体感する作品など、五感を通してデジタルアートで表現された森の中を探検することができました。

浜田市内の保育園・幼稚園、小学校と連携しワークショップを実施。できあがった作品を展示紹介しました。テーマは“森”。小学生は、顕微鏡で観察した葉っぱや木の実の模様をつかったデザイン表現に挑戦。幼児は、カラフルなトレーシングペーパーや自分たちで色付けした紙をつかって貼り絵で森を表現しました。

■全体参加人数／565人
小学校／8校《自然の模様でつくろう！》
保育園・幼稚園・こども園／18園《カラフルな葉っぱをつくろう！》《夜の森はどんな森？》